リベルサス・マンジャロ(GLP-1)【自費診療】

肥満は単に見た目の問題ではなく、健康に深刻な影響を及ぼすリスクがあります。過剰な体重は腰痛や膝痛など関節への負担を増やし、転倒時の骨折リスクを高めます。また、高尿酸血症による痛風、脂肪肝や膵炎の促進、さらには睡眠時無呼吸症候群の原因にもなり得ます。さらに肥満は糖尿病・高血圧・脂質異常症といった生活習慣病や、大腸がん・乳がん・子宮がんなど多くの癌のリスク要因でもあります。適正体重の維持はこれら疾患の予防に極めて重要であり、減量(ダイエット)は健康寿命を延ばす鍵となります。

しかし、食事制限や運動だけで減量を成功させるのは難しく、特に忙しい現代人にとって継続は簡単ではありません。こうした中、GLP-1受容体作動薬と呼ばれる新しいタイプの治療薬が注目されています。GLP-1は人の小腸から分泌されるホルモンで、インスリン分泌を促進して血糖値の上昇を抑え、さらに食欲を抑制する働きを持つ「痩せホルモン」です。肥満の方ではこのGLP-1分泌が少ないことが分かっており、薬で補うことで食欲を自然に抑え体重減少を促すことが期待できます。海外ではGLP-1製剤が肥満症の治療薬として承認・使用されており、日本でも糖尿病薬として承認されたGLP-1製剤を体重管理目的で応用するケースが増えてきました。

当院でも、内科専門医の管理のもと経口GLP-1薬「リベルサス」および注射型GIP/GLP-1薬「マンジャロ」を用いた自費診療のメディカルダイエットを開始いたします。医学的エビデンスに基づいた減量治療であり、無理のない範囲で食欲を抑えて効果的な体重管理を目指します。以下では各薬剤の特徴・効果・副作用、治療の流れ、料金等について詳しくご説明します。

リベルサスは、GLP-1受容体作動薬セマグルチドの経口薬です。元々は2型糖尿病治療薬として2020年に日本で承認されましたが、欧米ではその食欲抑制効果から肥満症治療薬としても用いられています。国内で体重減少目的で使用する場合は保険適用外の自由診療となります。(医薬品医療機器等法上、糖尿病への効能効果で承認された薬剤を減量目的で使用するため)

リベルサスの有効成分セマグルチドは、体内のGLP-1ホルモンと同様の働きをします。食事摂取後のインスリン分泌を促して血糖値の急上昇を抑え、また脳の満腹中枢に作用して食欲を低下させます。さらに胃の内容物の排出を遅らせる作用もあり、少量の食事でも満腹感が持続しやすくなります。これらにより無理な食事制限をせずとも摂取カロリーを減らし、徐々に体重を減少させる効果が期待できます。

海外の臨床試験では、セマグルチド経口薬(リベルサス)14mgを6か月以上服用した場合、平均で初期体重の約5%の減量が報告されています。実際、14mgまで用量を漸増できれば半年で3〜4kg程度の体重減少が得られるとのデータもあります。効果には個人差がありますが、適切な用量まで増量し継続することで一定の減量効果が期待できます。ただし即効性はなく、効果を実感できるまで通常2〜3か月、ピーク効果は服用開始から26週(約6か月)頃とされています。焦らず継続することが成功のポイントです。

リベルサスは1日1回、起床後すぐの空腹時に服用します。コップ半分以下(120mL程度)の水で錠剤を飲み、服用後少なくとも30分間は飲食を控える必要があります。これは胃の中に食べ物や他の薬があると有効成分の吸収が大幅に低下するためです。朝一番に水で服用し、その後30分経ってから朝食をとる習慣にすると良いでしょう。

用量は段階的に増やしていきます。まず3mgから開始し、4週間継続します。初期用量では効果が穏やかなため、この間に体が薬に慣れるか様子を見ます。4週間後、効果(食欲抑制)が不十分であれば7mgに増量し、更に様子を見ます。必要に応じて最大14mgまで増量できますが、7mgで十分効果が得られればそのまま維持量として継続します。増量の際は医師の判断のもと行い、副作用出現にも注意しながら調整します。

リベルサスの主な副作用は消化器症状です。服用初期に「軽い吐き気」「胃の張り(膨満感)」「便秘」「下痢」「胸やけ」などが見られることがあります。これらは体が薬に慣れるにつれ徐々に改善し、多くは一過性です。また「頭痛」「倦怠感(だるさ)」が出る方もいます。副作用が強い場合は一時的に用量を減らすなど対処しますので、ご不安な際は医師にご相談ください。

重大な副作用は稀ですが、急性膵炎の報告があります。激しい腹痛や嘔吐など膵炎を疑う症状が出た場合は直ちに服用を中止し受診してください。またGLP-1作動薬全般に、低血糖リスクは単独使用では低いものの、他の糖尿病薬と併用すると低血糖を起こす可能性があります。現在糖尿病治療中の方は必ず申告してください。

以下に該当する方はリベルサスを使用できません:妊娠中・授乳中の方、1型糖尿病の方、過去に膵炎を起こした方。また重篤な胃腸疾患(腸閉塞など)がある方、最近消化管手術を受けた方、18歳未満の方、アルコール多量摂取のある方なども原則使用は控えます。安全に治療を受けていただくため、診察時に詳しく問診し適応を判断いたします。

リベルサスは上述の通り本来2型糖尿病治療薬であり、肥満症(ダイエット目的)への使用は日本国内で承認された適応外使用となります。当院では国内正規流通品を使用しておりますが、この目的での使用において健康被害救済制度(副作用被害救済)の対象とはならない点をご承知おきください。治療にあたっては医師が十分に説明を行い、同意をいただいた上で開始いたします。

マンジャロ(一般名チルゼパチド)は、2022年にアメリカFDAで承認された新しい注射タイプの糖尿病治療薬です。2023年4月に日本でも2型糖尿病治療薬として発売されました。GLP-1と似たホルモンであるGIP(糖依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)受容体にも作用するデュアルアゴニストで、GLP-1とGIPという2種類のホルモンを同時に活性化させます。その結果、食欲や血糖のコントロール効果が相乗的に高まり、少量の食事でも満足しやすく過食を防ぐことができます。週1回の注射だけで強力な体重管理効果を発揮する点が特徴で、海外の肥満治療分野でも画期的な新薬として注目されています

前述の通りマンジャロはGIPとGLP-1の二重作用により強力な食欲抑制と血糖コントロール効果をもたらします。週1回の投与で血中濃度が安定し、日々の食欲を抑えて摂取カロリーを減少させます。アメリカで実施された大規模臨床試験では、マンジャロを段階的に増量し継続使用した患者の約3人に1人が体重の25%以上減量に成功したとの報告があります。全体の平均でも15%前後の体重減少が確認されており、肥満症治療薬として従来にない高い効果が示されています。こうした結果から、マンジャロは医療業界で「ゲームチェンジャー」とも称され、世界中で肥満治療への応用が進んでいます。

ただし、マンジャロもリベルサス同様に即座に大幅減量できる魔法の薬ではありません。適切な用量まで段階的に増量しつつ、数か月単位で継続することが重要です。臨床試験では72週間(約1年半)かけて20%以上の減量を達成しており、効果発現には時間を要します。安全かつ持続的に減量するため、無理な食事制限や過激な運動は不要ですが、規則正しい生活習慣の併用は効果を高めます。医師と相談しながら焦らず続けることで、着実な減量につなげましょう。

マンジャロは週に1回の頻度で皮下注射します。患者様ご自身で扱えるペン型注射剤で、太もも・お腹・二の腕などの皮下に針を刺し注射します。初回は原則2.5mgから開始し、少なくとも4週間は2.5mg週1回を続けます。その後、効果や副作用を見ながら5mgへ増量し、更に必要であれば7.5mgまで段階的に増やすことがあります。増量の間隔や最終用量は個々の体重減少幅や副作用の程度を考慮して医師が判断します(最大15mgまで段階的増量可能ですが、当院ではまず低用量から慎重に調整します)。

注射のタイミングは週1回、毎週同じ曜日に行います。例えば「毎週日曜の朝に注射」というように習慣化すると良いでしょう。ペン型注射はあらかじめ薬液が充填されており、ボタンを押すだけで所定量が注入される仕組みです。針も非常に細いため、注射時の痛みはインスリン注射等と比べてもごくわずかです。ご希望があれば初回時に看護師が指導いたしますので、自己注射が初めての方も安心して取り組めます。「注射が怖い」という方でも、多くの方が問題なく継続できています

マンジャロの主な副作用も消化器症状です。吐き気・胃もたれ・便秘・下痢・腹部膨満感などが報告されています。中には嘔吐に至るケースもありますが、その場合は脱水症状に注意が必要です。また、倦怠感(だるさ)、筋肉痛、気分の落ち込みといった症状が出ることもあります。これら副作用は初期に多く見られ、時間とともに軽快することがほとんどです。リベルサス同様、重大な副作用として急性膵炎や急激な減量による胆嚢疾患(胆石症など)の悪化が起こる可能性が極めて稀ながら指摘されています。腹部の激痛や黄疸症状が出た場合は直ちに医師の診察を受けてください。

以下のような方はマンジャロ治療を受けられません:現在糖尿病で治療中または糖尿病の疑いがある方(適切な治療が別途必要です)、BMIが大きくないのに部分痩せ目的で希望される方、妊娠中・授乳中の方、今後妊娠を計画している方、18歳未満の方など。また、ワーファリンなどの抗凝固薬を内服中の方や経口避妊薬(ピル)を内服中の方は、マンジャロの使用で効果に影響が出る可能性があります。これらに該当する場合は事前にご相談ください。治療中は避妊の継続もお願いしています。

マンジャロによる体重管理も自費診療(保険適用外)です。国内で肥満症治療目的に承認されたGLP-1/GIP関連薬は現時点で存在せず、本治療は2型糖尿病薬の適応外使用となります。当院では国内正規品を採用し、安全第一に配慮して処方いたしますが、この用途での使用は公的保険や副作用救済制度の対象外となる点をご理解ください。治療開始前に効果やリスクについて十分に説明し、同意を頂いた上で進めてまいります。

当院でのリベルサス・マンジャロ処方は以下の税込料金となります(診察料等別途)。初回は医師の診察(カウンセリング)を必須とし、患者様の体質やご希望を踏まえて適切な薬剤・用量を判断いたします。

リベルサス(30日分)
  • 3mg:8,000円
  • 7mg:14,000円
  • 14mg:28,000円
マンジャロ(2本入)
  • 2.5mg:9,900円
  • 5mg:14,900円
  • 7.5mg:21,900円

※1箱にペン型注射器2本入り。週1回の自己注射で2週間分に相当します。

リベルサスは1ヶ月単位(30錠)での処方、マンジャロは2週間ごとの処方が基本です。症状やご希望に応じて医師が処方日数を調整します。在庫状況によってはお渡しまでお時間をいただく場合がありますのでご了承ください。

初めて当院でリベルサス・マンジャロ治療を受ける方は、以下の手順で進めてまいります。

初回予約(来院日時の決定)

まずは当院への受診予約をお取りください。お電話またはWeb予約から「GLP-1ダイエット希望」とお伝えいただくとスムーズです。

問診票の記入

来院前にWEB問診票にて現在の体調や既往症、生活習慣(食事・運動習慣)などをご記入いただきます。当日受付時に紙の問診票へご記入いただくことも可能です。

医師による診察・カウンセリング

診察室で詳しくお話を伺います。体重・身長測定や血圧測定を行い、BMIや健康状態を評価します。現在の食生活や減量目標についてもお聞きし、リベルサスまたはマンジャロ治療が適切か判断します。治療内容や副作用リスクについて丁寧に説明し、ご納得いただいた上で治療を開始します。質問や不安な点は遠慮なくご相談ください。

処方と指導

適切と判断されれば当日からお薬を処方いたします。リベルサスの場合は初回は3mgを30日分処方し、服用方法(飲み方のコツや注意点)を説明します。マンジャロの場合は2.5mg(2本入り1箱)から開始し、看護師が自己注射の手技を指導いたします。初回の注射は院内で実施し、針の扱い方や保管方法(冷蔵保存が基本)をご案内します。お会計をして終了となります。

経過観察と再診

開始後は定期的に経過をフォローします。リベルサスは初回30日後に再診し、効果や副作用を確認して7mgへの増量や継続を判断します。マンジャロは2週間後に効果判定し、必要に応じて次の2.5mgまたは5mgへ増量します。その後も月1回程度の頻度で再診いただき、体重の推移や体調変化をチェックします。効果が十分ならその用量で継続し、効果不十分であれば用量調整を検討します。併せて生活習慣の指導や栄養アドバイスも行い、減量を総合的にサポートします。

オンライン診療について

当院では、対面診療のみです。

よくある質問(FAQ)

どのくらい体重が減りますか?

個人差がありますが、リベルサスの場合は最大用量14mgまで服用すると体重の5%前後の減少が期待できると報告されています。例えば体重80kgの方なら4kg程度が目安です。一方、マンジャロは高用量まで増量すると10〜15%以上の減量も可能で、海外試験では平均15%減、25%以上減量できた方も約3割いました。ただし急激には減りません。リベルサスは少なくとも3ヶ月、マンジャロも数ヶ月かけて徐々に効果が現れます。また減量幅は開始時の体重や生活習慣にも左右されます。当院では適切な食事・運動のアドバイスも並行して行い、無理なく最大限の効果を引き出せるようサポートいたします。

保険は使えますか?

申し訳ありませんが公的医療保険は適用できません。リベルサス・マンジャロとも本来の適応症は2型糖尿病であり、肥満症への使用は保険外診療となります。そのため診察料・薬剤料は全額自己負担となります。しかし、自由診療だからこそ患者様一人ひとりの希望に合わせたオーダーメイドの治療計画が立てられるメリットもあります。費用についてご不明な点があれば事前に遠慮なくお問い合わせください。

副作用が心配です。大丈夫でしょうか?

GLP-1作動薬による代表的な副作用は消化器症状(吐き気・胃部不快感・便通異常)です。特に治療開始初期に見られますが、多くは軽度で一時的なものです。当院ではできる限り副作用を軽減するため、低用量から開始して様子を見ながら徐々に増量する方針をとっています。もし強い副作用が出た場合は、用量を減らす・一時中断するなど柔軟に対応しますのでご安心ください。重大な副作用(膵炎など)は極めて稀ですが、万一強い腹痛や嘔吐が続く場合はすぐにご連絡いただき適切な処置を取ります。また、日頃から水分を十分摂取し、暴飲暴食を避けることで副作用リスクを下げることができます。医師からお伝えする注意事項を守っていただければ、安全に治療継続可能です。

リバウンドはしませんか?

薬の服用や注射を中止すれば食欲抑制効果は徐々に無くなるため、リバウンド(体重の戻り)の可能性はあります。特に十分な期間継続せず短期間でやめてしまうと、元の食欲が戻ってリバウンドしやすくなります。そこで当院では、目標体重に到達した後もいきなり薬を止めず減量後の維持期を設けています。徐々に薬を減量・中止しつつ、食事療法や運動習慣を定着させるフォローアップを行います。継続的な医師のサポートにより、リバウンドしにくい体質・生活習慣作りを最後までお手伝いいたします。

注射が苦手ですが、自分でマンジャロを打てますか?

マンジャロはペン型の自己注射製剤で、針も細くご自身で簡単に注射可能です。初回時に医師や看護師が丁寧にレクチャーし、針の扱いや安全な注射手技を身につけていただきます。痛みはインスリン注射程度かそれ以下で、ほとんどの方が「思ったより平気だった」とおっしゃいます。どうしても不安な場合、院内で看護師が代行することもできますので遠慮なくご相談ください。続けるうちに慣れてくる方がほとんどです。

投薬中に食事や運動で気を付けることはありますか?

特別に厳しい制限はありませんが、バランスの良い食事適度な運動を併用すると減量効果が高まります。高脂肪食ばかりだと効果が出にくいため、タンパク質や野菜中心の食事を心がけましょう。また、適度な有酸素運動や筋力トレーニングは筋肉量維持に役立ち、基礎代謝の低下を防ぎます。薬で食欲が抑えられているうちに生活習慣を整えることで、減量がスムーズになるだけでなくリバウンド防止にもつながります。診察時に管理栄養士や医師からアドバイスもいたしますので、一緒に無理のないプランを立てていきましょう。

現在他の薬やサプリを飲んでいますが併用できますか?

基本的に市販のサプリメントとの併用に問題はありませんが、医薬品については種類によります。糖尿病治療薬(特にインスリンや一部の経口薬)を服用中の場合、低血糖のリスク管理が必要です。また、ワーファリン(抗凝固薬)や経口避妊薬は前述のとおり注意が必要です。必ず診察時に現在服用中の薬剤・サプリを申告してください。医師が安全を確認の上で処方を行います。新しく薬やサプリを始める際も、治療中は一度ご相談いただくことをお勧めします。

治療をやめた後も太らないか心配です。

リバウンド対策については前述しましたが、治療終了後も定期的なフォローを行いますのでご安心ください。当院では減量達成後も数ヶ月ごとに経過チェックの機会を設け、体重維持に努めています。必要に応じて生活習慣の見直し指導や、場合によっては維持量での薬剤継続を提案することもあります。目標達成がゴールではなく、その先の健康的な生活の維持までサポートするのが当院の方針です。