
クラミジア感染症について
クラミジア感染症は、若い世代を中心に最も患者数が多い性感染症(STD)の一つです。
原因菌であるクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)が性行為を通じて粘膜に感染し、男性では主に尿道や肛門、女性では子宮頸部(膣)や肛門に炎症を起こします。近年はオーラルセックスによる喉への感染(咽頭クラミジア)も増加しており、感染者の約9割は無症状とされています。
クラミジアは放置しても自然に治ることはなく、無症状でも体内で進行して合併症の原因となるため、正しい知識と早期検査・治療が重要です。
症状(男女で異なる症状、無症状が多い)
クラミジア感染症の症状は男女でやや異なりますが、最大の特徴は自覚症状がない場合が多いことです。

男性ではおよそ5割が無症状で、症状が出ても排尿時の痛みや尿道からの透明~乳白色の分泌液(膿)程度で軽微です。初期には尿道炎の症状(尿道のムズムズ感、熱感、痛み)が現れることが多く、下着に少量の分泌物が付着して気付くケースもあります。
そのまま放置すると菌が精巣上体(副睾丸)まで達して精巣上体炎を起こし、睾丸の腫れや痛みが生じることがあります。精巣上体炎は不妊(精子の通路が狭くなり無精子症になる等)の原因にもなり得るため注意が必要です。
一方、女性では約8割が無症状とされ、感染に気付きにくい傾向があります。症状が出た場合、子宮頸管炎によるおりものの増加や不正出血、軽い下腹部痛、性交時の痛みなどが現れることがあります。ただし痛みが強く出ることは少なく、日常生活で見過ごされるケースも少なくありません。
自覚症状がないまま数週間から数年経過することも珍しくなく、その間にパートナーへ感染を広げてしまうリスクがあります。実際、妊婦健診で健康な妊婦の3〜5%からクラミジア感染が見つかったとの報告もあり、多くの女性が無自覚のまま感染していると考えられます。
感染部位が喉の場合(咽頭クラミジア)、症状はほとんどの場合出ません。ごく一部で扁桃腺の腫れや軽い喉の痛み、咳、微熱など風邪に似た症状が出る程度で、多くは自覚症状なく経過します。そのためオーラルセックスで感染しても気付かず、知らないうちに他者にうつしてしまうことがあります。
クラミジア感染症はこのように「症状が出ないから大丈夫」とは言い切れない病気であり、症状の有無に関わらず定期的な検査が推奨されます。
感染経路(主に性行為、オーラル感染もあり)
クラミジアの主な感染経路は性的接触(性行為)です。具体的には、膣性交・肛門性交(アナルセックス)・オーラルセックスなどにより、感染者の体液(精液や膣分泌液)や粘膜に含まれるクラミジア菌がパートナーの粘膜に接触して感染が成立します。
1回の性行為での感染率は30〜50%とも言われており、特に女性の方が男性より感染しやすい傾向があります。オーラルセックスによってのど(咽頭)に感染するケースも増えており、性器の感染に比べ自覚しにくいため予防や早期発見が難しく、見えないまま広がりやすい点に注意が必要です。
日常生活の中で、キスや会話、タオル・食器の共有、お風呂・プールといった通常の接触でクラミジアがうつる心配はまずありません。クラミジア菌はあくまで粘膜同士の性的接触によって感染するものです。
ただし、母子感染には注意が必要です。妊娠中に母体が感染していると、出産時に産道を通じて赤ちゃんに感染し、新生児が結膜炎や肺炎を起こす可能性があります。このため妊婦健診ではクラミジア検査が実施され、陽性であれば出産前に治療することが重要です。
感染予防にはコンドームの正しい使用が有効ですが、オーラルセックスではコンドームやシートの使用が徹底されない場合も多く、予防策が十分とられていない現状があります。不特定多数との性的接触を避け、パートナーとお互い検査を受けるなどの対策も心掛けましょう。
放置した場合のリスク
クラミジア感染症を治療せず放置すると、男女とも将来に重大なリスクを招く可能性があります。
女性では、膣や子宮頸部の局所感染が子宮内や卵管へ広がり、骨盤内炎症性疾患(PID)と呼ばれる状態を引き起こすことがあります。PIDになると卵管が癒着・閉塞してしまい、不妊症や子宮外妊娠(異所性妊娠)の原因となります。クラミジア感染は若年女性の不妊の大きな原因の一つとされ、将来子どもを望む方にとって見過ごせないリスクです。また、クラミジアが肝臓表面にまでひろがると肝周囲炎をおこし、右上の腹痛を訴えることもあります。
男性の場合も、放置により尿道から細菌が精巣上体や前立腺にまで達して精巣上体炎や前立腺炎を起こすことがあります。精巣上体炎になると精子の通り道である精管が狭くなったり、精子の数が減少することで、こちらも不妊の一因となり得ます。また、慢性的な前立腺炎は排尿障害や下腹部・会陰部の痛みなど長引く不調の原因にもなります。
さらにクラミジアを治療しないままでいると、知らぬ間にパートナーへ感染させてしまう恐れがあります。自分に症状がないと「大したことはない」と放置しがちですが、その間に大切な相手にうつし、相手も無症状のまま放置するといった悪循環(ピンポン感染)に陥るケースも少なくありません。一方だけ治療してもパートナーが未治療だと再びお互いに感染し合う結果となるため、二人同時に検査・治療を受けることが重要です。
クラミジアは適切な抗生物質による治療で完治する感染症ですので、放置せず早めに医療機関を受診しましょう。
よくある質問
受診案内(検査方法、費用、保険対応、予約方法など)
当院では、感染症専門医がクラミジア感染症を含む各種性感染症に対して迅速かつ丁寧な対応を心がけています。
【感染症内科】の自由診療メニューとして淋菌・クラミジアDNA同時測定(核酸増幅検査=PCR)を実施しており、症状のあるなしに関わらず検査が可能です。検体は症状やご希望に応じて尿検体またはうがい液を使用します(同時に性器と喉を調べる場合は別途検査が必要です)。精度を重視して迅速検査(その場で結果が出る簡易キット)ではなく外部機関へのPCR検査となるため、結果まで約7日間のお時間をいただきます。また同時に問診、診察から判断し初診時から適切な治療を開始することもいたしますのでご安心ください。
費用は8,500円(税込)(淋菌との同時検査・結果説明込み)で、検査結果が陽性だった場合の治療費用は別途かかります。なお、症状のある方や検査結果で医師が必要と判断した場合には保険診療での対応も可能です。
診察時にお気軽にご相談ください。
