生活習慣病

40歳から頻度が増えるため「成人病」といわれていましたが、運動、食事、喫煙、飲酒などの生活習慣が病の発症に深く関与していることがわかってきたため「生活習慣病」という用語に変わりました。
日本の平均寿命は世界でもトップクラスですが、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を示した「健康寿命」の重要性が近年注目されています。健康寿命を伸ばしていきいきとした人生を過ごすためには生活習慣病を発症しないこと、そしてほっておかないことが重要です。

一般内科で主に対応する生活習慣病をご説明します。

高血圧

わが国では4000万人以上の高血圧患者数が推定されており、3000万人以上がコントロール不良または治療をうけておらず、結果として高血圧に起因して年間10万人以上が死亡しているといわれています。自覚症状がほとんどないため気付かないうちに進行してしまい心筋梗塞や脳卒中など生命に関わる疾患に繋がることや慢性腎臓病が進行して一部では血液透析の対象となる方もいらっしゃいます。
このような不幸な合併症をできるだけ起こさないための目標となる科学的根拠に基づいた血圧値が様々な学会等から示されており、それを達成するために専門知識をもった医療従事者の適切な指導をうけて生活習慣の改善をはかり投薬など必要な治療をうけて通院を続けることが健康寿命を伸ばすためにも非常に重要です。

脂質異常症(コレステロール、中性脂肪の異常)

血液中には細胞やホルモンの成分となるコレステロールやエネルギーの貯蔵と運搬の役割を担う中性脂肪といった脂質が存在しています。この脂質が一定の基準を外れた状態を脂質異常症といい健康診断で最も多く指摘される異常となります。健診ではおもに悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロール、善玉コレステロールといわれるHDLコレステロール、中性脂肪(TG:トリグリセライド)を測定します。
動脈硬化の引き起こす最大の原因がLDLコレステロール高値でありHDLコレステロールが低いことも関与し結果として心筋梗塞、脳卒中などの発症原因になります。中性脂肪単独ではLDLコレステロールほど動脈硬化との関連性は強くないのですが、高血圧、糖尿病などとともにいわゆるメタボリックシンドロームの構成要素となることが知られており複合的な要因から動脈硬化の進行に繋がります。
 いずれも自覚症状に乏しいため健康診断で指摘されてもついほっておいてしまうことも起こりえます。
適切な治療を早めに行うことで不幸な合併症のリスクが下がります。

糖尿病

生活習慣の欧米化とともにわが国で患者数は増え続けており、その多くは血糖を下げるホルモンであるインスリン分泌が低下してしまうこととインスリンが効きにくくなってしまうことで血糖が上がってしまう2型糖尿病がしめています。2型糖尿病では遺伝より環境による影響が多いことがわかっており、肥満、運動不足、食事内容と摂取カロリーの改善により発症しにくくなります。これらを改善することで高血圧、脂質異常症への好影響も同時にでるため、結果として脳梗塞などの脳卒中、心筋梗塞などの冠動脈疾患の予防に繋がります。
血糖が高くても初期は自覚症状がないため健康診断などで指摘されても放置せずに早めにご相談ください。進行して重症化すると網膜症による視力の悪化・失明、神経障害による知覚の低下、免疫力低下による感染症の合併による潰瘍形成、腎臓の機能低下による血液透析が必要となることもございます。早め早めに生活習慣の改善と適切な治療をうけることが重要です。

高尿酸血症、痛風

成人男性の2割は血液中の尿酸値が基準より高いといわれています。主に遺伝的素因と肥満、食べすぎや飲酒など複数の原因が重なることで発症しますが普段は自覚症状がなくても激痛を伴う関節炎(痛風発作)、腎臓の障害につながることがあります。検診などで異常を指摘されたらそのまま放置せずに生活習慣の改善と医師による適切な指導をうけてください。

内服について

「薬が始まるとずっとのみつづけなければいけないんでしょう?」
生活習慣病の治療について患者さんとお話しするときに時々このようなお言葉をおききすることがありますが、大事なことはコレステロール、中性脂肪、血糖値、尿酸値が高いままにしておくことで日常生活に影響を及ぼすような合併症を将来発症してしまう可能性があること、それを避けるために必要な治療薬があれば上手にお付き合いしていくことが健康寿命を延ばすことに繋がるということです。同時に食生活、運動習慣、喫煙、飲酒をみなおすことで治療薬の減量、あるいは内服が不要になることもあります。
治療を開始するにも中断するにも医学的に適切なタイミングがありますのでまずはお気軽にご相談ください。