
黄色い鼻水
鼻水が黄色く濁っていると、「風邪が長引いているのか、それとも副鼻腔炎(蓄膿症)など別の原因があるのか?」と心配になるものです。鼻水の色は体調を判断するヒントになり、特に黄色い鼻水は体内で何らかの 原因 が起きているサインかもしれません。
黄色い鼻水の主な原因
黄色い鼻水は多くの場合、ウイルスや細菌の感染に対する体の防御反応によって起こります。
本来、鼻水は無色透明ですが、免疫反応により白血球などが集まり死滅すると、その死骸(膿)が混ざって黄色く見えるのです。つまり、黄色い鼻水自体は体が病原体と戦っている証拠とも言えます。ただし、その背景には様々な疾患が潜んでいる可能性があります。主な原因として次のようなものが挙げられます。
- 風邪(ウイルス感染)
- 一般的な鼻風邪でも、症状の後期になると鼻水が黄色く濁ることがあります。風邪の初期は透明な鼻水ですが、免疫反応が進むにつれて白血球の働きによる産物が混ざり、色がついてくるのです。多くの場合、風邪に伴う黄色い鼻水は一時的で、数日~1週間程度で改善していきます。
- 細菌感染(二次感染)
- ウイルス性の風邪が長引いたりこじれたりすると、鼻の中で細菌が増殖して二次感染を起こすことがあります。この場合、鼻水はさらに濃い黄色や緑色になり、粘度も増してネバネバした状態になります。細菌感染による鼻水はしばしば膿のにおいを伴い、風邪よりも症状が長引く傾向があります。
- 副鼻腔炎(蓄膿症)
- 鼻の奥にある副鼻腔という空洞に炎症が及ぶと、副鼻腔内に膿が溜まり続けてしまいます。副鼻腔炎では粘り気の強い黄色い鼻水が代表的な症状で、放置すると黄色から緑色へと色が濃く変化することもあります。特に頬や額の痛み、鼻水の悪臭などを伴う場合は、副鼻腔炎の可能性が高く注意が必要です。
- アレルギー性鼻炎の悪化
- 花粉症などのアレルギー性鼻炎では通常、さらさらした透明な鼻水が出ます。しかし症状が悪化したり粘膜が傷んだ状態では、鼻水が黄色っぽくなることがあります。これはアレルギーで敏感になった粘膜に細菌が付着・増殖しやすくなったり、炎症が長引くためです。アレルギー持ちの方で鼻水の色が変わってきた場合は、アレルギー症状のコントロールの見直しも必要でしょう。
以上が主な原因ですが、まれに鼻の中の構造的な問題(例えば鼻茸〈ポリープ〉や、片側の鼻だけから膿が出るような場合は歯の炎症による副鼻腔炎など)で黄色い鼻水が続くケースもあります。いずれにしても、黄色い鼻水はたいてい何らかの炎症や感染が起きているサインです。まずは風邪など様子を見る場合でも、経過に注意を払いましょう。
副鼻腔炎との関係
副鼻腔炎(蓄膿症)は、黄色い鼻水が長引く場合に真っ先に疑われる代表的な疾患です。
副鼻腔とは鼻の奥にある空洞で、ここが風邪のウイルスや細菌感染をきっかけに炎症を起こすと膿が溜まります。副鼻腔炎になると鼻水は粘度の高い膿性となり、黄色~黄緑色の鼻水が大量に出たり、喉の方へ垂れ落ちて痰や咳の原因になることもあります。前述のとおり頬や額の痛み、鼻づまり、悪臭などの症状を伴うことが多く、慢性化すると嗅覚低下(においを感じにくい)につながる場合もあります。
副鼻腔炎には、急性のものと慢性のものがあります。急性副鼻腔炎は多くは風邪をこじらせた場合に起こり、適切な治療で数週間以内に治ることが期待できます。
一方、3か月以上症状が続く慢性副鼻腔炎では、粘膜の腫れによって鼻茸(ポリープ)ができたり、症状が長期化する傾向があります。副鼻腔炎そのものは耳鼻咽喉科での治療が一般的ですが、黄色い鼻水が続く場合は早めに医療機関で診断を受けることが重要です。
放置すると日常生活に支障を来したり、治りにくくなってしまう可能性があるためです。
まとめると: 「黄色い鼻水=副鼻腔炎」というわけではありませんが、黄色い鼻水が長引くとき注意すべき病気が副鼻腔炎です。早期に適切な対応をすれば悪化を防ぐことができますので、長引く場合は無理せず受診しましょう。
どんなときに受診すべきか
鼻水が黄色っぽくても、短期間で良くなる場合は心配いらないこともあります。しかし、次のような症状が続いたり悪化する場合は早めに受診することをおすすめします。
- 黄色い鼻水の状態が2週間以上続く場合
- 高い熱や強い頭痛、倦怠感を伴う場合
- 顔や額の痛みがある場合
- 頬骨のあたりや眉間・額に重苦しい痛みや圧迫感がある場合、副鼻腔に膿が溜まっている疑いがあります。これは典型的な副鼻腔炎の症状です。
- 鼻づまりがひどく日常生活に支障が出ている場合
- 鼻が詰まって睡眠の質が低下したり、口呼吸のせいで喉が渇いてしまう、仕事や家事に集中できないほど不快感が強い場合は受診を検討してください。
また、鼻水に悪臭がある場合や、黄色い鼻水に血が混じって褐色がかっている場合も注意が必要です。悪臭は膿がたくさん溜まっているサインであり、血が混じるのは強い炎症による粘膜からの出血が考えられます。いずれも放っておくべきではない症状です。
以上のような重い症状や長引く症状は自己判断せず、早めに医療機関で診察を受けましょう。早期に治療を開始すれば、重症化を防ぎスムーズに治すことができます。
よくある質問
当院へご相談ください
黄色い鼻水が続く場合や副鼻腔炎が疑われる症状がある方は、お気軽にしずく内科クリニック東池袋にご相談ください。当院では内科専門医・感染症専門医が診察するため、風邪や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎など幅広い疾患に対応しています。
初期の判断や内科的治療(必要に応じたお薬の処方など)は内科でも十分可能であり、症状に応じて耳鼻咽喉科など専門医療機関とも連携しながら適切な医療を提供いたします。
