風邪とは、のどの痛みや鼻水、咳、場合によっては発熱などを伴い、多くは命に別状がなく、数日で治る症状をいいます。正式名称は「風邪症候群」「感冒」「急性上気道炎」などのことをいいます。なお、新型コロナウイルスも風邪の原因となるウイルスの一種であり、同様の症状を引き起こすことがあります。
風邪の一般的な症状
下記が一般的な風邪の症状です。
- 咳
- 喉の痛み
- 鼻水
- くしゃみ
- 頭痛
- 発熱(軽度)
風邪の原因
風邪の主な原因はウイルス感染です。
ウイルスの種類
- ライノウイルス
- コロナウイルス(※新型コロナウイルス含む)
- RSウイルス
- アデノウイルス
- インフルエンザウイルス
- エンテロウイルス
風邪が引き起こされるメカニズム
鼻、のど(咽頭・喉頭)、気管、気管支、肺などからなる呼吸器は、常に吸い込んだ外気と触れているので、空気中にウイルスや細菌がいても侵入されて感染しないような防御システムが備わっています。粘液では、異物による感染から体を守る免疫防御機能が働いています。体が異物と戦っていると、異物を出そうとしてくしゃみ、鼻水、咳、たんが出たり、粘膜内部の組織に炎症が起こって腫れ、鼻づまりやのどの痛みなどの症状を引き起こします。発熱は、異物の侵入により体に異変が起こったことを知らせると同時に、免疫の働きが活発になっているサインです。
風邪の伝染経路
- 接触感染
- 汚染された物を触れた後、口や鼻に触れることで感染します。
- 飛沫感染
- 咳やくしゃみで飛び散る飛沫を吸い込むことで感染します。
- 空気感染
- ウイルスが空気中に漂い、それを吸い込むことで感染します。
風邪の症状と進行
風邪のウイルスは、まず鼻や口内、のどなどに付着します。このときにウイルスが増えていくと、のどや鼻の粘膜が傷つき、のどの痛みや鼻水が生じます。さらに進行して気道までウイルスが広がると、咳や痰が出てきます。
さらにウイルスが増えると、体は熱を出します。ウイルスは熱に弱いので、人間が耐えられるギリギリまで熱を上げて退治しようとするのが、発熱のしくみです。風邪の基本症状の多くは、1週間程度で自然に治ります。それ以上続く場合や、鼻水がにおう、咳がずっと止まらないなど、風邪とはちょっと違う症状が見られた場合は、別の感染症にかかっている恐れもあるので、医療機関を受診するようにしましょう。
免疫力が弱い高齢者や小さな子ども(乳幼児)、持病などによって免疫力が低下した人は、健康な成人と比べて風邪が重症化しやすいため、早めに医師に相談することが大切です。
風邪の予防方法
- 手洗いの重要性
- マスクの着用
- 風邪を引きにくくするには、ウイルスが体に侵入することを防ぐ、マスク、手洗い、うがい、人混みを避けるなどの感染防御策が有効です。
- 生活習慣の改善
- ウイルスが鼻やのどに侵入しても、体の免疫が働いてウイルスの増殖を許さずに排除することができれば、風邪は発症しないか軽い症状ですみます。風邪を引きにくくするためには、生活習慣を整え、体に備わった免疫力を高めることも大切です。
風邪を引いたときの対処法
- 十分な休養
- 水分補給
- 適切な食事
熱はむやみに下げるのでなく、保温を心がけ、安静と水分・栄養補給などによりウイルスを排除する免疫の働きを助けるようにしましょう。体がウイルスを排除して戦いが終わると、熱は自然に下がっていきます。
風邪の治療方法
- 市販薬の使用
- 発熱は体がウイルスなどと戦うための反応ですので、無理に抑える必要はありません。しかし、つらい発熱はとても体力を消耗してしまうので、体の負担を軽くするために、解熱鎮痛成分が含まれた市販の風邪薬などで発熱を和らげてもよいでしょう。
- 医師の診察と処方薬
- 症状が重い場合や心配なことがある方は医師に相談してみて下さい。市販薬を服用しても発熱などの症状が長引く場合は、原因を調べて適切な治療を受けるために、必ず医療機関を受診するようにしましょう。
- ホームケアの方法
- さむけ(悪寒)やふるえは、体がウイルスなどと戦うために体温を上げようとしている状態です。倦怠感、筋肉痛・関節痛など風邪による全身症状も前後してあらわれてくるかもしれません。さむけ(悪寒)やふるえを感じたら、風邪などによる発熱の前触れと考え、早めに体を休めるようにしましょう。
風邪と他の病気の違い
インフルエンザとの違い
風邪は軽い発熱や鼻水が主な症状でライノウイルスなどが原因です。一方、インフルエンザは高熱、頭痛、筋肉痛が特徴で、インフルエンザウイルスが原因です。風邪は軽症で済むことが多いですが、インフルエンザは重症化リスクが高く、予防にはワクチンが有効です。
アレルギー性鼻炎との違い
アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンが原因で、くしゃみ、透明な鼻水、鼻詰まりが主な症状です。風邪はウイルス感染が原因で、発熱、喉の痛み、咳、粘性のある鼻水が特徴です。
風邪に関する誤解と真実
よくある誤解
- 風邪は寒さが原因でひく
- 風邪はウイルス感染によって引き起こされるため、寒さそのものが原因ではありません。寒冷な環境で免疫力が低下し、ウイルス感染のリスクが高まることはあります。
- 風邪は抗生物質で治る
- 風邪の原因はウイルスなので、抗生物質は効果がありません。抗生物質は細菌感染に対して使用されます。
- 風邪を引くとすぐに高熱が出る
- 風邪の症状は個人差があり、必ずしも高熱が出るとは限りません。軽度の発熱や微熱のみの場合も多いです。
風邪を引かないためのライフスタイル
- 栄養バランスの取れた食事
- 適度な運動
- 免疫機能を保つためのストレス管理
風邪に効く食べ物と飲み物
- 免疫力を高める食品
- ビタミンCは免疫システムを強化し、感染症に対する抵抗力を高める働きがあります。ビタミンCが豊富な食品は、柑橘類、キウイフルーツ、イチゴ、ブロッコリー、赤ピーマンです。
- ビタミンDは免疫細胞の機能をサポートし、風邪の予防に役立ちます。ビタミンDが豊富な食品は、サケ、マグロ、サバ、卵黄などです。
- 抗酸化物質は体内の炎症を抑え、免疫機能を強化するのに役立ちます。抗酸化物質が豊富な食品は、ベリー類、ナッツ類、ダークチョコレートです。
- 喉に良い飲み物
- 喉を潤し、症状を和らげるために効果的な飲み物として、温かいハーブティーやはちみつレモン、生姜湯、ホットミルクがあります。
風邪を引いたときの注意事項
- 外出時の注意
- 人が多く集まる場所や公共交通機関はできるだけ避け、ウイルスの拡散を防ぎましょう。また、必要な外出時は、できるだけ短時間で済ませるように心がけてください。
- 周囲への感染予防
- 風邪の症状があるときは、必ずマスクを着用して、咳やくしゃみの飛沫を防ぎ、他人に感染を広げないようにしましょう。また、外出先では、こまめに手を洗い、アルコール消毒液を使用して手の清潔を保つことが重要です。
子どもと高齢者の風邪対策
子どもの風邪の特徴
子どもの風邪は頻度が高く、鼻水や咳など多様な症状が現れます。重症化しやすく、手洗いや水分補給、バランスの取れた食事、十分な休息が重要です。症状が長引く場合は医師の診察を受けましょう。
高齢者の風邪予防と対処法
高齢者の風邪予防には手洗い、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、予防接種が重要です。風邪をひいた場合は十分な休養と水分補給を心がけ、症状が重い場合は早めに医師の診察を受けましょう.
まとめ
風邪はウイルスによる上気道感染症で、様々な症状を引き起こします。予防には手洗いやマスクの着用、対処法としては、十分な休養と水分補給、適切な食事が大切です。風邪を引かないためにも、健康的な生活習慣を身に着けましょう。