感染症内科

当院長は特に感染症を専門とする内科医として様々な感染症の診療を長年にわたり経験してきました。
クリニックへ受診される患者さんの中で代表的な感染症についていくつかご説明します。

かぜ(感冒)

咳、鼻水、鼻のつまり、のどの痛みなどが数日間で改善する病気のことを一般医かぜといい、8割は何らかのウイルスが原因といわれており、後述する新型コロナウイルス感染症、流行性インフルエンザが原因に含まれることもあります。
ご自身の体調を悪化させないため水分や糖分の補給による安静にこころがけてください。つらくなった場合は受診を検討してください。感染症の流行状況により軽度の症状の方でも発熱外来で対応することがありますのでご理解ください。

急性胃腸炎・感染性胃腸炎

主にウイルスが原因で嘔吐、腹痛、下痢など胃や腸の消化管に症状をともなう状態をいいかぜ症状が合併していることもあります。原因となる食べ物以外でもウイルスのついたパソコンやドアノブなどの環境を触った手から口を介して広がってしまうことがあり学校や医療機関で流行することがあります。特に高齢者では脱水により重症化することがあるので注意が必要です。手洗いは感染症予防の基本ですが特に感染性胃腸炎への対策では有効です。
ウイルスより頻度が低いですがカンピロバクター、サルモネラなどの細菌で胃腸炎を起こすことがあります。火の十分に通っていない焼き肉、焼き鳥、十分に洗っていない野菜などの摂食には十分注意してください。
多くは自然に治りますが症状が強い場合は症状を緩和する処方薬や、細菌感染では抗生剤を使うことがあります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

ここ3年ほどの世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、皆様の生活や健康が脅かされてきました。感染対策を重視した生活様式への変化、ワクチンの登場、様々な治療薬の開発により少しずつウイルスの脅威に対応できるようになってきましたが現時点でもウイルスの変異は続いており感染力も増していると言われています。
昨今「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」での第2類から第5類への指定変更が話題になっておりますが、法律での対応が変わってもウイルスが人にとって脅威であることには変わりありません。インフルエンザなどの流行状況によっては同時に対応することも必要となります。
このような疾患に適切に対応するために当院では事前の電話でのお問い合わせによる予約制での発熱外来をおこなっています。発熱以外で受診する他の患者さんやクリニックスタッフへの感染対策に配慮するための準備を整える必要がありますのでご理解のほどよろしくお願いいたします。当院では新型コロナウイルスの感染拡大防止のためかぜ症状(発熱・咳・鼻汁・のどの痛み・だるい・嘔吐・下痢など )の方、その他、新型コロナウイルス感染症が疑われる患者様に対し院内トリアージを実施しております。

性感染症

梅毒の報告者数がここ数年増加の一途をたどっています。また、日本は世界的にもHIV感染症の報告者数が先進国の中では減少しない国のひとつだと言われています。性感染症は複数の感染が同時に起こっていることも多く、しっかりした診断、治療を行わなければ病状が進行して様々な臓器に症状が起こることがあります。また性的パートナーへ感染が広がってしまうことも問題です。当院はHIV感染症(ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害によるもの)の指定自立支援医療機関(更生医療)です。通院をご希望の方はお問い合わせください。
一般のクリニックでは相談しにくい性感染症全般の相談も承ります。

麻しん(はしか)、風しん(三日はしか)、水痘(水ぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふく)

ウイルスの感染が原因で発熱、発疹など様々な症状をおこします。人から人へ広がりやすい疾患でワクチン未接種者や小さいお子さん、免疫が弱い状態で感染して発症すると重症化することがあります。現在麻しんは国内では流行していませんが、まれに海外からもちこまれ小規模な流行をおこすことがあります。これらの流行性ウイルス疾患はワクチンで防げる代表的な感染症のひとつであり、ワクチン接種と発症者の早期発見が非常に重要です。

帯状疱疹

一度感染した水痘ウイルスが体内に眠った状態でいたものが、加齢、疲労、ストレス、免疫不全の疾患などが原因でウイルスが再活性化してしまい帯状疱疹として発症すると体の片方の皮膚の神経の領域に沿って線状・面状の赤み、水ぶくれ、かさぶたを生じて激しい疼痛を伴います。発症した場合は抗ウイルス剤による治療を行いますが、治癒したあとでも痛みやぴりぴり感がつづくことがありますので要注意です。
対策には帯状疱疹ワクチンによる予防が重要です。また帯状疱疹を繰り返す方は何らかの免疫の異常(免疫不全)が背景にあることも。早めに当院へご相談ください。

季節性インフルエンザ

国内では毎年1~3月頃をピークに流行してきましたが、コロナ流行下の2021年、2022年シーズンは日常の感染対策が例年より徹底されたためかインフルエンザはほとんど報告されませんでした。しかし2023年シーズンに入り報告数が増えており、都内でも1月下旬の報告数の増加から流行注意報がだされました。
インフルエンザにかかっても多くは数日の発熱、咳、関節の痛み、全身のだるさなどをへて自然に回復しますが高齢者や免疫の弱い方、小児では重症化や細菌による肺炎の合併で命に関わることがある重要な疾患です。インフルエンザワクチンには重症化をある程度防ぐ効果が確認されています。また発症しても適切なタイミングで抗ウイルス薬を投与することで早めに症状が緩和されることがわかっています。
特に流行シーズン中は症状がでたら早めにご相談ください。疑わしい場合は発熱外来で対応いたします。

当クリニックではインフルエンザの予防接種をwebで受付しております。詳しくは下記サイトをご覧ください。

肺炎球菌、マイコプラズマなど

細菌、ウイルス、自己免疫疾患(免疫のバランスがくずれる疾患)などにより肺の組織に何らかの炎症が起こりることを肺炎と称します。肺炎球菌は肺炎をおこす代表的な細菌であり特に高齢者が感染すると重症化して命に関わることがあります。ワクチン接種と早期発見・治療が重要です。
マイコプラズマは細菌の一種で感染がおこると乾いた咳がきっかけとなり、発熱、全身のだるさなど様々な症状をおこします。咳が長引き喘息のような症状を起こすこともあります。もともと日常生活を普通におくっている若年者の肺炎の原因として高頻度であることが知られています。

細菌感染が原因による肺炎の場合は抗生剤の投与など適切な治療が重要です。病状によっては高度医療機関での治療が必要となります。
当院では適切な治療と適切なタイミングでの高度医療機関へのご紹介を心がけます。